ミルクラブ
Edward=Elric×Roy=Mustang





「――そんな遠くまで行ったのか。鋼のは」

言いながら、ロイは俺の前にカップを置いた。
いつもコーヒーを入れてくれるホークアイ中尉は今は外出中らしく、
代わりに大佐がカップを二つと、少々の菓子をトレイに乗せて持ってきた。
……菓子。
やっぱ子供扱いな訳デスカ?

「おう。で、結局はガセだったんだけどね――って、うわっ、これ大佐が入れたの!!?」

目の前の菓子に目を奪われていた俺は、その事実に気がつき、置かれたカップをぐわしとつかみ込む。
大佐が大佐が大佐が大佐が(エンドレス)俺のために。
ヤバイ、胸の高鳴りが押さえ切れねぇ。

「私が入れては可笑しいかね?」

椅子に座りながら、いつもより柔らかな笑みを口元に乗せて言う。
たまんねーって、おい!
普段どんな雑用を押し付けられていようと、この笑顔の前に不満は塵となって消える。

「あ、有難う御座います///」

きっと顔は馬鹿みたく赤いだろう。
恥ずい……
でも、嬉しいんだから仕方ないだろ。
照れつつもカップを口元に運び――

フリーズ。
全ての時が止まる。

「こ、こ、」
「どうした、鋼の」

「これッ!コーヒー牛乳じゃねーかよ!!?」

飲めねーッ!!!
俺は叫ぶ。
俺の牛乳嫌いは重々承知な筈なのに何故!!?

「? 何を言っている鋼の」

ロイは小首をかしげ言う。

「コーヒー牛乳とは、コーヒーの中に牛乳を入れたものだろう」
「……そうだろうね」
「だがこれは、牛乳にコーヒーをぶち込んでみたから、牛乳コーヒーだ」
「出来るものは一緒だろーッ!!!」

本当に錬金術師かこの人はッ!

「いや、これも立派な発想の転換というべき物だろう。
 ちなみにアドバイスをくれたのはアルフォンス君だ」

アールーッ!!!
ちょっと恨みたくなってきた。
何でチャッカリお前は名前で呼んで貰ってんだよ!
嗚呼、論点が違うだろ俺!

「何故頭を抱えていのかね、鋼の」

しれっとした顔で、己のカップの物を飲むロイ。
分かって言ってるよこの確信犯め。
俺は苛立ちに任せて、牛乳コーヒーをあおった。

――牛乳は少量だったらしい。
  意外なほど、嫌な味はしなかった。












FIN

反省文
 
 大佐の愛はコレです。
 笑って人の弱点を突きつつ(嫌な奴だな、おい)、が、しかし!そこはかとなく優しさを込める!
 で、実はシャイ。
 ……最後のは希望で(汗)

 本当は、恋の行方〜とあわせて一作で、桜貝と言う作品でしたが、
 あまりに雰囲気がずれたんで、切り取りました。
 桜貝……あまりにラヴラヴでUP出来ないよ///



 三人称と一人称。
 どっちが書き易いか比べるため、一人称で。
 結果は、一人称のが楽しかったです。
 どっちも書きにくいよー。
 文章力なんてないよー。