「に、兄さん!ちょっと待ってよー」
人をすり抜けて疾走する小柄な体を追いかけ、アルフォンスは叫んだ。
「なぁにしてんだよアル!早くしろって」
聞こえる声は遠く、人ごみに埋もれた姿はまるで見えない。
「兄さんが早すぎなのッ!ってか何処に居るのー!!?」
「ああもー!じゃあ俺先行ってるから、宿とっといて!」
「え?兄さん!?」
兄の姿は微かに見え、赤い上着を翻して文字通り豆粒と化した。

「毎度のことだけど、兄さん、あの人の事となると形振り構わないよね」
大通りに取り残されて呟く。
「宿になんて、兄さんどうせ泊まらないじゃないか」
アルは大げさに肩をすくめた。




最後に会ってからどれ位時がたったか……
三ヶ月……正確には2208時間46分経過!
天才的頭脳を何処か間違えた方向に使用しつつエドは東方指令部を目指す。
標的は一人、愛しい人ロイ=マスタング大佐。






恋の行方は前途多難。
Edward=Elric×Roy=Mustang





「たっだいまー、大佐!!!」

いつも唐突な彼――エドワ−ド=エルリックは、今回も類に漏れず、唐突に踏み込んできた。
顔には満面の笑顔。
普段大人ぶっている彼ではあるが、こういった表情は年相応の無邪気なものだ。

「大佐、大佐ッ、会いたかったぜ!2208時間47分ぶりッ……って、あ゛」

いきなりの、ガサ入れのごとき訪問に、その部屋にいた人物――ロイ=マスタングは目を剥いた。
驚いた拍子に離された、書類を持っていた両の手。
数百枚の書類が華麗に中を舞う。
そして追い討ちをかける様に、開け放たれたドアから強風が吹き込み――

エドの来訪により、部屋は一瞬で書類の紙ふぶきで満たされた。


「……鋼の?」

はらはらと書類が舞う中、俯いたロイの口から、普段とはかけ離れた超重低音の声が紡がれる。
怒りで震える肩を見、
エドは背筋が冷たくなっていくのを感じた。
今までの浮かれた気分が一気に絶対零度に下がってゆく。

「あの、その、ごめ……」

謝罪の言葉を遮って、

「言い訳無用!」

腰に手を当て、高らかに叫ぶロイ。
黒曜石とか同人世界でしばしば形容される瞳は、怒りの炎を灯し、
エドワードを睨んでギラリと輝く。

「さーあ、這いつくばって拾うがいいッ!!!
 こちとら監視付きの残業明けでキツイというのに、なんだねそのニヤケタ面は……ッ
 今拾え、すぐ拾え!
 よもや嫌とは言わぬだろうな!」

……まさに般若。

「わ、分かった拾うからさ。ね、御免。許し……」

「ハハ、君に愛想笑いは似合わんな。
 見せないよう、ホフク前進で拾え」

「は!?んな、無茶苦……」

「ちなみに元の様に、年代別、地方別に分類し、使用頻度を分けて提出してくれたまえ、鋼の錬金術師君」

「…………。」

「? 何をしている。早くしてくれないと仕事が出来ないんだがな」













「……ハイ」

声は空しく部屋に響いた。

















大佐としての権力を振りかざすロイと、
涙しながら書類を拾い集める尻にしかれたエド。
この二人が恋人であるという事実を知る者は少ない。

「ねぇ大佐、俺達の関係って……」
「上司と下僕だな。」













FIN

反省文
 「下僕?へぇじゃ、ご主人様に尽くしてあげないとね」
 「な、何をする鋼のッ!!」
  エドはロイの椅子に乗りあがり、その襟に手を掛ける。
 「分かってんだろ?気持ちよくしてやるよ」
 「や、やめ……ッ」
 (続、裏使用/笑)
って感じのが、一般的なエドロイだと思うんですけど(おいおい)
うちのエド、立場弱……ッ!!!
ホフク前進しながら「アルぅ……」とか言ってます。
「あ、ちなみに書類は涙で汚さないでくれたまえ。」
血も涙もありません大佐。

文を書くのは物凄く苦手な上、文才皆無、まともに公開するのは初めてですが、
小話チックに、此れからもチョコチョコ書いていきたいと思います。
なんせ絵に色気が全然ないんで、此れくらいは……
ってか、題名ハズ……ッ///
友人に見られたら笑い者にされるぅ(ガタガタ)